「肩こり」と言えば「肩揉み」という概念は私たちの中で根付いていますが、これは正しい治療法ではありません。
マッサージは治療ではなく緩和法に過ぎず、一時的なスッキリ感は得られますが、すぐにまた繰り返してしまうでしょう。
肩こりを自力で改善させるのは、簡単ではありません。
肩こりが再発するのはなぜか、またなぜ肩こりが起こるのか、そのメカニズムを考えてみましょう。
肩こりの原因には、悪い姿勢、長時間同じ動作、怪我や交通事故、精神的ストレス、血行不良など様々なものがありますが、その多くは姿勢バランスに関連しています。
人間は二足歩行で、背骨がゆるやかなS字カーブとなっておりクッションのような役割で重力を分散させ、からだのバランスをとっています。
頭は大体5キロぐらいあるといわれており、体の中心できちんとバランスをとれてS字が保たれていればいいのですが、これが崩れている場合、頭の重さを首だけで支えなくてはいけなくなるため、首と肩まわりの筋肉が引き伸ばされたり縮んだり(緊張)してバランスを取ることになります。
それが続くと、筋肉は当然硬くなり、周辺の血液の巡りが悪くなり,疲労物質が蓄積することで肩こりを引き起こします。これが肩こりのメカニズムです。
一般的にデスクワークやPC作業が多い方や、猫背の方に肩こりは多いと言われていますが、共通しているのは首が前に出ている姿勢ということです。
身体の中心から頭が離れていけば離れていくほど、首や肩は大きな筋力を使って支えなければならず、大きな負荷がかかるのです。
更に、問題なのは、このように仕事や癖など持続的に背骨のS字カーブが歪む状態が続くと、少しずつ頚椎にズレが生じていくということです。筋肉が骨を歪ませてしまうのです。そうなると、いくらマッサージをしても、一時的に肩こりが楽になることはあるかもしれませんが、背骨のS字カーブを整えないことには、肩こりを根本的に治すことはできないのです。
肩こりが慢性化すると、肩や首の筋肉の緊張はひどくなり、頭痛や吐き気などの辛い他の症状が現れることもあります。
また、肩こりには病気が潜んでいる可能性もあります。
しびれなど肩こり以外の症状や、強い痛みが取れない場合、頸肩腕症候群や、胸郭出口症候群、頚椎椎間板ヘルニア,四十肩、五十肩などという病気の可能性もありますので、肩こりを感じたら、早い段階で治療を始めることをおすすめいたします。